健康や美容に良いとされ、数年前から大ブームが続いているオリーブオイル。
生食でも炒め物でも揚げ物でも、何にでもサッと使える汎用性の高さから、手放せなくなっている方も多いことでしょう。
でもそのオリーブオイル、本当に使い続けて大丈夫ですか?
今回は、日本で蔓延している偽物オリーブオイルの実情と、本物の正しい見分け方についてご紹介します。
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エキストラバージンオリーブオイルは偽物だらけ!
オリーブオイルの品質は、国際オリーブ協会(IOC)により、全部で4種類9段階に細かく定義されています(『オリーブオイルの使い分けしてる?料理を手軽に格上げする正しい使い方』参照)。
よく耳にする「エキストラバージンオリーブオイル」はその中の1種類で、良質なバージンオリーブオイルの中でもさらに品質の良い最上級のオリーブオイルのみが、呼ぶことを許されるものとなっています。
しかし、それはあくまでもIOCの基準です。
実は、日本はこのIOCには加盟しておらず、オリーブオイルの品質は日本農林規格(JAS = Japan Agricultural Standard)で定められています。
ところがJASによると、オリーブオイル(食用オリーブ油)の規格は以下の2種類にしか分類されていません。
オリーブ油 | 精製オリーブ油 | |
---|---|---|
一般状態 | オリーブ特有の香味を有し、 おおむね清澄であること。 | おおむね清澄で、 香味良好であること。 |
水分及び きょう雑物 | 0.30%以下であること。 | 0.15%以下であること。 |
酸価 | 2.0以下であること。 | 0.60以下であること。 |
そのため、海外ではエキストラバージンオリーブオイルとして認められていないものが、日本では当たり前にエキストラバージンオリーブオイルとして販売されているのです。
2016年にはイタリアの偽物エキストラバージンオリーブオイルが、日本で販売された形跡があるとしてニュースになりましたが、規格は当時と全く変わっていないため、偽物から身を守るには、自分で判断するしか方法はないのです。
もはや通用しない!?間違った見分け方6つ
本物のエキストラバージンオリーブオイルの見分け方としてよく挙げられるのが、以下の6つの方法です。
- 遮光性のボトルに入ったものを選ぶ
- 酸度が0.8以下であるものを選ぶ
- ラベルの原産国名を確認する
- 高額な商品を選ぶ
- コールドプレス製法で作られているものを選ぶ
- オーガニック認証マークのあるものを選ぶ
あなたも知っているものが1つ2つありませんか?
もしあなたがオリーブオイルを購入する時にこれらをチェックしているのなら、それはほとんど無意味かもしれません。
その理由を、順番に解説していきましょう。
遮光性のボトルは品質が落ちないようにするもの
オリーブオイルは非常にデリケートなため、太陽光や室内の光でも徐々に品質が落ちていきます。
そのため、淡い色のボトルは避け、濃い色のボトルに入れられるのが一般的です。
しかし、これは内容物がボトルに入れられてから、品質が劣化するか否かの話です。
そもそもの内容物がIOCの基準に達していないのであれば、遮光性のボトルに入っていても、偽物です。
もちろん、オリーブオイルを購入する際に濃い色のボトルを選ぶこと自体は正しいですが、それが偽物エキストラバージンオリーブオイルを見分ける直接的な方法とはならないでしょう。
酸度は加工により調整できる
IOCでは、エキストラバージンオリーブオイルの酸度を0.8以下と定義しています。
でもこれは、加工により後からいくらでも変えることのできる数値です。
なんでもありの偽造エキストラバージンオリーブオイルの前では、酸度の表示は全く当てにならないでしょう。
ラベルの原産国はボトリングした国
原産国がスペインやイタリアなどオリーブオイルが有名な国だと、なんとなく安心しますよね。
しかし注意しなければならないのは、ラベルに表示されている原産国は、最終的にボトルにオイルを入れた国を表しているということです。
つまり、内容物は他の国で製造されていたとしても、最終的にスペインやイタリアでボトリングしていれば、「スペイン産」「イタリア産」を名乗って良いということになります。
そのため、ラベルの原産国チェックもほとんど意味を成さないでしょう。
高価だからといって品質が良いとは限らない
これはどんな商品においても言えることですが、「価格が高い = 品質が良い」ではありません。
エキストラバージンオリーブオイルはオリーブ100%ジュースで貴重なため、もちろん極端に安いものは偽物と判断できますが、高いからといって本物であるとは限りません。
価格だけに惑わされ高額なオリーブオイルを購入しては、悪徳業者の思うツボでしょう。
コールドプレス製法は抽出方法の一手段
コールドプレス製法とは、オイルの温度を常に40度以下に抑えてじっくり抽出することで、無駄な添加物の混入を避けられる抽出方法のことです。
手間はかかりますが、ナチュラルな成分で体に優しく仕上がるため、食用油は一般的にこの抽出方法で処理されています。
しかし、今解説したようにこれはオリーブから油を抽出する一手段に他なりません。
この後、工業的に加工があったかどうかは、また別の話なのです。
つまり、エキストラバージンオリーブオイルの判定基準には到底なり得ません。
オーガニック認証マークは有機栽培であるだけ
オーガニック認証とは、生産者が農薬を使わずに生産したものを、第三者機関が証明する認証制度のことです。
日本では、基準にクリアしたものは有機JASマーク(オーガニック認証マーク)がつけられ、「オーガニック」を名乗る資格が与えられます。
そのため、オリーブオイルにこのマークがあれば、オリーブが有機栽培されたことはほぼ間違い無いでしょう。
ただし、これもあくまでオリーブが栽培された時点での話で、ボトル内容物の品質が保証されているわけではありません。
よって、残念ながらこれもエキストラバージンオリーブオイルを見分ける手段にはならないでしょう。
本物はこう見分ける!正しい見分け方3つ
ここまでエキストラバージンオリーブオイルの間違った見分け方を見てきて、とても不安に感じた方もいるでしょう。
でも安心してください。
ここからは、ほとんど狂いのないとっておきの正しい見分け方3つをご紹介します。
品評会(OLIVE JAPAN)で受賞歴のあるものを選ぶ
まずは、品評会で受賞歴があるかどうかを調べてみると良いでしょう。
日本では、オリーブオイルソムリエ協会主催で2012年から毎年「OLIVE JAPAN」と呼ばれる品評会が行われており、その中でエキストラバージンオリーブオイルコンテストが行われています。
コンテストでは、世界の主要生産地から集まったハイレベルなオリーブオイルが出品され、その品質を競っています。
審査員は日本オリーブオイルソムリエ協会によって選定・推薦され、日本国内だけでなく海外主要生産国の認定テイスターが集まるため、ここで受賞歴のあるオリーブオイルは、間違いなくトップレベルの品質を持ったものだと判断できるでしょう。
OLIVE JAPAN® 2025 スタート! OLIVE JAPAN® とは? OLIVE JAPAN®は、JOA認定マークを確認する
日本は国際オリーブ協会(IOC)に加盟していないと前述しましたが、日本で唯一「一般社団法人日本オリーブ協会」だけは、団体組織として2010年からIOCに加盟しています。
これにより、日本オリーブ協会では輸入業者やレストランで使われるエキストラバージンオリーブオイルに対し、IOCの国際規格の品質検査を受けられる仕組みが確立しました。
この日本オリーブ協会に認定されたマークが、「JOA認定マーク」です。
したがって、ラベルにJOA認定マークがあるものは、間違いなくエキストラバージンオリーブオイルであると判断することができるでしょう。
テイスティングする
オリーブオイルを購入する場所によっては、事前にテイスティングができるお店もあるようです。
IOCによるオリーブオイルの定義は非常に細かいため、舌で感じ取るのは至難の技ですが、舌に自信がある方にとっては一番確実な方法かもしれません。
もう偽物に騙されない!正しい見分け方で良いオリーブオイルライフを♪
残念ではありますが、スーパーマーケットで販売されているオリーブオイルの半数以上が偽物だと言われるほど、日本には偽物エキストラバージンオリーブオイルが蔓延しています。
でも今回ご紹介した通り、正しい知識さえ持っていれば、本物を見分けることはそれほど難しくないでしょう。
この記事が、一人でも多くの消費者を偽物から守ることを願っています。